【リライト版】中国で働く 工作許可申請手続きから居留許可取得まで 

お仕事あれこれ

 

皆さん、こんにちは!しゃんはいさくらです。

今日の記事では、中国で仕事をする上で必要な工作許可の申請から居留許可の取得についてまとめています。

数年前、『外国人来華工作許可制度』が施行されて間もない頃に関連情報をまとめた記事を書いたのですが、これまで多くの方にコメントを頂き、それに合わせて追記を重ねていたら、ちょっと読みにくい記事になってしまったため、今回改めてまとめ直した次第です。

中国での手続きはケースバイケースなことが多いため、この記事だけでは解決に至らないと思いますが、これから中国で働かれる方の参考になれば幸いです。

  

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中国駐在に必要な手続きは?

外国人が中国で働く場合、永久居留許可を持っている人を除いて、必ず『外国人工作許可証』を取得し、入国時に使用したZビザから工作(就業)事由の居留許可に切り替える必要があります。

外国人工作許可証 
裏側には写真と個人情報が読み取れるQRコードが印字されています

 

その手順を大まかに言うと

工作許可通知申請・取得

中国大使館でZビザ申請・取得 ※

中国に入国

工作許可証申請・取得

工作居留許可申請・取得

という流れを踏むことになります。

 

このうち、『外国人工作許可証』には一定の取得要件があり、それをまとめたものを通称『ポイント表』と呼んでいます。

中国で働くにあたり、A人材・B人材・C人材という言葉を耳にすることがありますが、このランク分けの依拠になっています。

現行のポイント表。
85点以上でA人材、60点以上でB人材、それ以下はC人材と区分けされます

 

工作許可申請をする際に提出する『外国人来華工作許可申請表』は、ポイント表の内容が反映されており、当局が工作可否を判断する上での大事な資料となります。

参考)https://fuwu.most.gov.cn/lhgzweb/attached/file/20170828/20170828143535_778.pdf

 

※コロナ期における特別対応

新型コロナウィルスの蔓延に伴い、中国では査証の申請に制限をかけています。

2021年7月現在、中国のZビザの申請・取得の手続きには招聘状(中国語では“邀请函”)が必要です。

取得までに時間を要し(数週間~1ヶ月強)、この期間の長短は赴任先の現地当局の対応如何によって決まります。

 

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各申請に必要な準備資料

※(コロナ期)Step0:招聘状の取得

こちらからオンラインで申請できます。

http://wsb.sh.gov.cn/n881/index.html 

これらの手続きは派遣先の中国人スタッフにお願いすればいいので詳細は省きますが、ここで大事なのは、準備する書類は入念な確認を経た上で提出することです。

招聘状申請で出した資料と、今後の手続きに提出する資料の内容が異なり、整合性が取れない事態が発生すると、工作許可証の発行に支障を来たします。

中国では、各種書類の中身の整合性が比較的重視されているように思いますので、途中で変更や訂正がないようにご注意ください。

 

Step1:工作許可通知の申請・取得

工作許可通知の申請には、

 

外国人来華工作許可申請表

職務経歴書(社印があること・要中訳)

学歴証明書(要大使館認証)または批准文書、職業資格証明(業界の批准が必要な職種の場合)

無犯罪証明(6ヶ月以内に発行されたもの)

健康診断書(6ヶ月以内に発行されたもの)

雇用契約書(中国の会社との)、ない場合は任命書(現所属会社からの派遣書簡)

パスポート(有効期限まで6ヶ月以上あること)

証明写真(6ヶ月以内撮影のもの、無帽、背景白地)

帯同家族がある場合はその証明資料

 

が必要です。

 

こちらも中国の派遣先が手続きをしてくれると思うので、本人は言われるがままに該当する書類を準備すれば良いのですが、いくつか注意点を書いておきます。

まず、中国の関係機関に提出するものですので、日本語資料には中国語訳を付ける必要があります。

 

また、学歴証明書には「学位」が明記されていることが望ましいです。

卒業した学科(専門)や学位が書かれていない卒業証明書を提出して書類を差し戻されたケースがあります。

中国では大学の専攻や職務の経歴と、中国で就こうとしている業務の関連度がある程度重視されており、工作許可発行可否の判断材料にされますので、職務経歴書の作成時はご注意下さい。

 

私の知人(英語専攻・現地採用)は、自分の中国語力と英語力を活かしてこれまでホテル業界で働いていたのですが、中国国内で繊維メーカーの輸出入業務(英語も中国語も使うので)に関わる仕事に転職しようとしたところ、前職との整合性が取れないことを指摘され、新しい勤務先で工作許可証の変更許可が下りませんでした(その後当人は本帰国)。

 

申請は一旦電子資料(PDFやJPG)を提出し、予備審査を行います。(要5営業日)

予備審査で問題があると資料の再提出を求められます。

資料の再提出が重なると、その度に5営業日が無駄になるので、一発で予備審査が通れるように、しっかり準備なさって下さい。

 

繰り返しますが、職務経歴書と来華工作許可申請表は重要です。

 

以前、私は現在の工作許可証に切り替える時に手こずったことがあるのですが、その理由は申請表をしっかり記入しなかったからでした。

昔は、この手の申請表はみな手書きで、記入欄も小さく、内容は簡潔に書くものだったのですが、電子申請に変わってから中身が重視されるようになりました。

私は当時、簡潔に書いたが為に内容不備と見なされて2回も差し戻されたのです。

私が皆さまに注意喚起したい重要なポイントは「中国で従事する業務」の欄を

 

丁寧に

細かく

書けることは全て

 

書くこと。

 

私のケースで言うと、私の名刺の肩書きが秘書兼通訳なので、そのとおり秘書業務と通訳業務と書いたのですが、初回はこれで差し戻されました。

2度目、秘書業務の細かい内容と、どういうことを通訳しているかを書いたんですが、それでもNG。

人事担当が「当局に内容が少なすぎると言われた」と言ってきたので、3度目、1年に2回くらいしかやらない仕事も含めて、私がこれまでやってきた全ての仕事を書き足したらやっとOKが出ました。

 

派遣先の総務担当、人事担当がしっかりした方で、妥当な派遣理由で申請をしていれば、滞りなく工作許可通知がもらえると思うのですが、「中国で従事する業務」欄は気を抜かずに対応なさって下さい。

 

ご参考)上海市人民政府 「一網通弁」

上海における工作許可通知の申請は、こちらからオンラインで申請できます。

一网通办

 

Step2:査証の申請と取得

必要書類は次のとおりです。

 

パスポート原本及び写し

証明写真(6ヶ月以内のもの、4.8*3.3、背景は白)

中華人民共和国査証申請表

外国人工作許可通知(原本、写し)

※(コロナ期)招聘状

以上の資料をビザセンターに持参して申請します。

 

私が日本で査証を取ったのはかなり前のことで現在の状況は判りません。

最新情報は中国ビザセンターホームページにてご確認下さい。

https://bio.visaforchina.org/TYO2_JP/

 

Step3:中国へ入国

Zビザが貼ってあるパスポートで中国に入国します。

※現在、コロナ期対応でPCR検査の陰性証明が必要ですが、当記事では割愛します。

 

いよいよ中国での生活が始まるわけですが、入国後に工作許可証を取得し、更に居留許可に切り替えるまでに1ヶ月以上の時間を要する(※コロナ期は更に+21日間)ため、その間の生活に困らないように、資金や物資を十分に準備した上で渡航されることをオススメします。

(中国では居留許可(留学・就業)がないと外国人の銀行口座開設ができないため、赴任から給与振込まで時間を要します)

※現在、コロナ期対応の隔離政策で通常よりも多くの資金が必要となります。

隔離ホテルの宿泊費は現地派遣先からの支払いができるのであればそうしてもらうのが良いと思います。

  

Step4:工作許可証の申請・取得

入国後15日以内に、Zビザが貼ってあるパスポートと工作許可通知を当局に提出すると、工作許可証を発給するかどうかの決定が下されます。

※新規入国者の強制隔離期間はこの期限に含みません。隔離後速やかに対応すれば大丈夫です。但し、工作許可通知の発行から4ヶ月を過ぎると、システム内の情報が消えてしまい、工作許可申請のやり直しとなるのでご注意ください。

 

なお、この記事ではStepで分けて書いていますが、招聘状と工作許可通知の書類準備は同時期に進めるのが良いと思います。

 

Step5:居留許可の申請・取得

工作許可証取得後、パスポートなどの関係書類を出入境管理局に提出すると就業事由の居留許可が取得できます(ビザに似た居留許可シールがパスポートに貼られて戻ってきます)。

居留許可の取得については、当局が書類を受領した日を含めて15営業日以内に居留を許可するかどうかの決定を下します。

上海では7~8営業日程度でパスポートが戻ってきています。

 

居留許可が取得できれば、銀行口座が開設できますので、スマホ決済の設定(銀行口座との紐付け)を行いましょう。

ある程度の容量とスペックがあるスマホを使うのがオススメ

 

これで中国での生活がグッと楽になると思います。

最初の1~2ヶ月は大変ですが、先輩たちからのサポートを借りて頑張って乗り切って下さい。

 

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工作許可と居留許可の延長時における注意点

一旦工作許可と居留許可を取ってしまえば、その後の延長(更新)は比較的ラクです。

会社経由で手続きすることになりますので、担当者からの指示どおりにすれば大丈夫です。

情報の変更がない場合は、特に準備するものはなかったように思います。

 

但し、ポイントに変化が出るタイミング(主に年齢。46歳で-5ポイント、56歳で更に-5ポイント)と重なり、合計ポイントが60点以下になると更新がスムーズにいかない場合があります。

  

C人材に該当する方や60歳以上の方の更新は難しいとは聞きますが、ビザ専門のエージェント経由で解決した人もいるようです。

条件的に厳しいと感じている方は専門の方に相談してみると良いと思います。

  

ちなみに、両者の更新期限でちょっとややこしい部分がありまして、

工作許可の延長申請は期限前の30日までに済ませる

のに対し、

居留許可の延長申請は期限まで30日を切ってから

となります。 

工作許可を延長してから居留許可の延長申請まで少し時間が空きますのでご注意ください。

 

最後に

時折、読者様から工作許可に関するお問い合わせを頂きます。

都度、私で答えられる範囲の内容はお答えしておりますが、最終的な判断は現地当局が行うものですので、あらかじめご承知おき下さい。

また、コロナの状況に伴い、各国の対応が都度変化しています。

当方でもなるべく最新情報が提供できるように努めておりますが、完全ではありませんので合わせてご理解下さい。

 

なお、一部メールアドレスはこちらからの返信がサーバーに弾かれてしまいます(特に日本の携帯プロバイダーアドレス)。

返信がない場合は別のアドレスでお問い合わせ下さい。

 

以上、工作許可、居留許可に関する情報をリライト版としてお届けしました。

 

皆さまの工作許可証、居留許可が滞りなく下りますように。

コメント

  1. 前田浩一 より:

    お世話になります。ブログを拝見してご存じの事があればお伺いしたくご連絡致します。只今、江蘇省蘇州市昆山市にて駐在4年半を超えますが、8月に駐在約5年で60歳定年を迎える為、退職して同じ昆山市で継続して別の台湾系企業からのお話により転職を予定しています。ただし定年で60歳を超える為、転職先で工作と居留許可をどの様に申請して取得出来るか転職先でも明確には理解がなく、エージェントに依頼すべきとの話になっていますが、ご存じのエージェントなり、取得に対するアドバイスがございましたらお伺いしたくご連絡を致しました。現在、暗中模索状態となっております。いざとなれば60歳前の59歳の内に転職が必要でしょうか?ご意見お伺いしたく、どうぞ宜しくお願い致します。

  2. 前田浩一 より:

    追加情報として参考になればと思い追記いたします。前回迄の工作許可は今の会社が申請しましたが、最初の申請はBランク1年で取得後は、Aランク2年が2回4年取得中ですが、役職や給料及び所得税でAランクとしている様に思っています。次回の転職先台湾系企業では給料も今より下がりますし、役職も恐らく変わると思います。現在は統括部長職ですが、顧問等になるのではないかと考えてます。60歳以上ですと、董事長や総経理職や所得もしくは所得税がある一定基準出ないとポイントにより85ポイント超にないといけない様な基準になってます。ただ65歳前だと現地中国内での転職の場合、居留期間内に手続きを出来ればもう少し基準に対して通過し易いのではないかとのお話をされる方もいらっしゃいます。ただし明確な根拠がなく、また85ポイント超は積み上げがなかなか厳しいと見積もっており、何か確実な方法を知りたくお問い合わせをさせて頂く次第です。よろしくお願い致します。

    • こんにちは。コメントどうもありがとうございます。
      おっしゃるとおり、ランク付けの基礎となるポイント表がありながらも、給与(それに付随する所得税)が重視されて判断されているのが実情のように思います。
       
      60歳前後の方の居留許可について私の知る限りの状況で申し上げますと、皆さん60歳を前に本帰国されており、60歳以上で工作許可及び居留許可を取得した方の例を聞いたことがありません。
      上海と昆山では状況が違いますし、当局の判断も異なりますので、一度転職先企業さまから当局への問い合わせをして頂くのが良いと思います。転職先企業さまが一連の作業を嫌って対応してもらえない場合は、エージェントに依頼してはいかがでしょうか?

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