「精日分子」って何のこと?

さくらの独り言

先月下旬、抗日ドラマでよく見られる旧日本軍の軍服を着た中国人が南京の戦争関連遺跡で写真撮影をしたことで当局に拘留されるという事件がありました。

この件以来、ニュースで「精日分子」という言葉をよく目にするようになったのですが、最初はその意味するところがよく理解できませんでした。

ここ数日、ニュースを読んだりいろいろ考えて私なりに理解が進んだので、ここにまとめておこうと思います。どなたかの参考になれば幸いです。

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日本語では「精神日本人」?

この“精日分子”という言葉について日本と中国のサイトをいろいろと検索してみたところ、日本語のサイトで「精神日本人」という書かれているのを見つけました。

当時の私には正直しっくり来なかったのですが、要は「気持ち的に自分のことを日本人とみなしている中国人」のことを言うようです。

中国語でも“精神日本人”と言い、その略称が“精日”で、「〇〇の人たち」という意味がある“分子”くっつけて“精日分子”と言うのだと判りました。

◎中国語のお勉強◎

“分”は多音多義語です。fēnと第一声で読む場合は、分ける、区別するの意味を示すほか、時間や貨幣の単位として用いられます。fènと第四声で読む場合は、成分を表したり、新聞や文書を数える時の量詞として用いられます。“精日分子”の“分子”は、fènzǐと四声で読みます。fēnzǐと読んでしまうと、分数や化学で用いる「分子」のことになってしまうので気をつけましょう。

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“精日分子”と“哈日族”

少し時代遅れ感のある言葉ですが、以前中国で、日本の芸能人やアニメ、ファッションなどの流行を追いかける人たちのことを“哈日族”と呼んでいた時期がありました(今も日本の文化や流行が大好きな中国人は多いのですがこの言葉はほとんど聞かなくなりました)。

哈日族も深く掘り下げていくと日本の台湾統治の話にまで遡るのですが、私が上海に来た当時(2005年)はまだ使われていた言葉で、戦争を思わせるようなイメージは全くありませんでした。

日本では「冬のソナタ」を皮切りに韓流ブームが起こりましたが、その大陸版と言いますか、当時の中国では日本好きを“哈日”、韓国好きを“哈韩”と呼んでいました。

私が最初に“精日分子”という言葉を聞いたとき、“分子”という言葉が付いている時点で良くなさそうなイメージはありましたが、すぐに“哈日”という言葉が浮かんできて、“哈日”と“精日分子”の違いはなんだろう?と疑問に思いました。

少なくとも“哈日”には戦争を思い起こさせるようなイメージはないので、“精日分子”はきっとデリケートな言葉なんだろうなとは想像がつきましたが、「精神日本人」となかなかうまくリンクできませんでした。

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“精日分子”に込められた意味

ニュースサイトなどを読み進めるうちに、想像どおり、この言葉にはいい意味は込められていないことが解りました。

これまで読んだ内容から推測するに、“精日分子”は、日本に対する一定の理解があり精神的にも染まりつつあるものの、現実的には日本人になりたくてもなれるはずもなく、中途半端で残念な状態にある中国人であると認識されているように感じました。

“哈日”も“精日”も日本に対して好感を持っている人たちである点では共通していますが、“哈日族”の場合は文化やエンターテイメントに対する「好き」に留まっているのに対し、“精日分子”は文化の範疇を超えて、日本に対する感情の行き先が別次元に行ってしまっている人たちのことを指しているようです。

“精日分子”は自分のことを“哈日族”の中のエリートのように捉え、普通の“哈日族”を低く見ているようなところがあるのだとか。

その鼻高々な態度が一般の中国ネット民に好かれなかったのでしょうか、中国のサイトをいろいろと見回っていたら、“精日分子”のことを“汉奸”(売国奴)呼ばわりしているサイトもあったくらいですから、この言葉がとてもデリケートな言葉であることがご理解頂けるかと思います。

ある党員の話

以前私がとても慕っていた中国人リンダオが、日本側とのある交渉の時に、私にボソっと呟いたことがあります。

「日本側の主張が会社にとって有益なのは十分に理解しているが、日本側が提示した条件を丸ごと飲むことはできない。中国側には(日本に対する)反対勢力が必ず存在していて、その人たちの意見を汲みながら交渉を進めないと私は“汉奸”(売国奴)と言われてしまう。この苦労、(中国人に嫁いだ)あなたなら解るでしょう。」

中国人にとって日本との関わり方がどれほど難しいか、中国人が日本の肩を持ちすぎるとどうなるかを率直に語ってくれたのだと思います。

ウチの旦那も私と結婚したことで常に“精日分子”や“汉奸”と認識される可能性を秘めていると思うし、日本語がペラペラな会社の同僚たちだってちょっと情勢が変わるだけでスパイ呼ばわりされることだってあり得ます。

当事者の今後

この国でこういった類の事件を起こしてしまうと、その本人はもちろん、その親戚一同は今後相当な苦労を強いられながら生活していくことになります。

あんなに手をかけて一生懸命育てた一人っ子の子どもがこんな事件をきっかけに人生が180度変わってしまう。。。

親御さんの気持ちを思うと何ともやるせないです。

中国の実情を考えると、この手の事件は党員が腐敗で捕まるよりも後が大変というか、今後の成り行きによってはかなりの厳罰が下される可能性もあります。

上でも書きましたが、中国国内では「日本」は常に微妙なバランスの中にあるわけで、中国人として長年中国で生活していながら、こういう事件を起こした後の結末がどういうことになるのかくらい予測できただろうにととても不思議に思います。

彼らの真の目的は何だったのでしょうか?

最後に

自分なりにいろいろ書いてみましたが、まとまっているような、まとまっていないような内容でスミマセン。

なお、今日の話題はデリケートなお話ですので、当サイトに書かれている内容のコピー、転載などはご遠慮ください。

あくまでも私の個人的な考え方なので、「ふーん、そうなのか、しゃんさくはそう思ってるのね」程度に読んで下されば幸いです。どうぞよろしくお願いします。

※本日の記事は百度を始めとする中国の検索サイト、百科サイトの情報を元にしゃんはいさくらの個人的見解を交えて執筆しました。

精日問題に関して専門家の方による素晴らしい記事がありますのでこちらで紹介させて頂きます。

王毅外相が『精日は中国人のクズ』と激怒した訳 

日経ビジネスオンラインで定期的に記事を出していらっしゃる福島香織氏による考察です。

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