ある日、上の子のクラスで6人が発熱で休みとの事態を受け、危険を察した担任の先生。
マスクをしましょうだの、咳をしている人は学校に来ないで下さいだのクラス内での蔓延を防ごうといろんな策を講じたのですが、結局学級閉鎖になってしまいました。
今日は学級閉鎖に至ったいきさつと、感染力の強い病気に対する中国での対応措置について紹介したいと思います。
学級閉鎖に至った経緯
冒頭で書いたとおり、ある日、上の子のクラスで6人が発熱を理由に休みました。
その前から病欠したり、咳をしている子がちらほらいた為、担任の先生は微信メッセージでマスクの着用を呼びかけていました。
その後、発熱で休んだ6人のうちの3人がマイコプラズマ肺炎との診断を受けたため、学級隔離措置を採ることになりました。
翌日、担任が咳をしている人は大事を取って学校に来ないように呼びかけたり、学校に来た子の中で酷い咳をしている子を強制的に帰宅させたところ、クラスの半分以上が不在になったため、学級隔離初日にその日の授業が急遽中止となり、しばらく学級閉鎖することが決まりました。
マイコプラズマ肺炎とは?
名前はしょっちゅう耳にしても、ウチの家族のメンバーでマイコプラズマにかかったことがある人がいないので、復習を兼ねて覚書きしておきます。
マイコプラズマ肺炎は細菌を起因とする呼吸器感染症です。
咳、唾などを経由して飛沫感染するため、学校生活などの集団生活を送っていると感染しやすい病気です。
喉などにマイコプラズマ菌が付着し、肺で増殖して肺炎を起こします。
主な症状として、初期には風邪に似た症状が現れますが、咳が酷く痰がからみ、熱を伴った場合は病院に行って検査をするのが良いとのことです。
マイコプラズマは中国語で何と言う?
マイコプラズマ肺炎は、中国語では
「支原体肺炎(zhīyuántǐfèiyán)」
と言います。
似た名前の肺炎に「衣原体肺炎」がありますが、これはクラミジア肺炎で、どちらも細菌系の肺炎で抗生物質で炎症を抑える措置が採られます。
「支原体」や「衣原体」だけで検索すると性病の情報ばかりヒットして「???」となってしまうので、後ろに「肺炎」を付けて調べると良いですよ。(←経験者)
専門検査は申し出が必要
上の子のクラスでは、担任が、病院に行ったらマイコプラズマの検査をするように呼びかけていました。中国では申し出ないと専門の検査をしてくれないようです。
この呼びかけで、更に1例のマイコプラズマ肺炎が見つかり、クラスの感染者数は4人になりました。
さすが中国、完全閉鎖ではない
学級閉鎖と言っても、家庭の都合で子どもを見る保護者を手配できない場合は、学校に行くことは可能です。
授業はしないのでほぼ自習となりますが、給食は手配してもらえます。一部の子は学校に顔を出していたようです。
我が家は感染を防ぐために自宅待機にさせました。
これも義両親のサポートがあるからこそできることです。ありがたいですね。
授業再開
週末、担任が統計したところ、学校に行ける子が25人以上いたので、今週の月曜日から再び学校に行き始めていますが、学級隔離は続けるとのことでした。
1月には期末テストがあるので、それまでに学級閉鎖した1週間分を取り戻さなければいけません。
補填授業が続いて子どもたちが疲れ、抵抗力が落ちて再び体調不良の子が続出しないか若干心配ですが、今のところ幸いにして上の子には何の症状もないので、このまま事態が収まってくれることを願っています。
感染系の病気に敏感な中国
さて、人口の多い中国では、伝染病の蔓延にとても敏感です。
大規模な感染の広がりを見せた症状と言えば、2003年に流行ったSARS(重症急性呼吸器症候群)でしょうか。
2003年は元々私が中国に留学をしようと考えていた年なのですが、当時この病気が流行っており、安全を期して留学期間を調整したため、とても印象に残っています。
中国ローカル校の学級隔離
SARSの大流行がきっかけなのかはわかりませんが、中国では感染力の強い病気が出ると、学校や幼稚園で学級隔離措置が採られます。
子どもたちが通っている(た)学校(幼稚園)で今まで学級隔離した症例は、手足口病と水ぼうそうが多かったですが、今回上の子のクラスでは、マイコプラズマ肺炎で更に一段階上の学級閉鎖措置が採られました。
学級隔離時の措置
一部伝染病については、厳格なルールに基づいて管理されています。
下の子がまだ幼稚園に通っていた時に手足口病が流行り、ウチの子にも移って登園禁止となったので、その時の経緯を紹介しましょう。
幼稚園では、衛生老師(保健の先生)が在籍していて、
登園 → 手洗い → 先生が手と口の中をチェック
するルールになっています。
先生はその他にも目が赤くないかとか熱っぽくないかなど外観でわかりやすい症状についてチェックしており、病気の疑いがある場合は担任、保護者に連絡が行き、必ず病院に行くように指示されます。
ウチの子のケースでは、仲良く遊んでいた子が手足口病だと判明したので、お子さんをチェックしてくださいと夕方に担任から電話があり、子どもの口の中を見たら発疹っぽいものを見つけたので、そのまま病院に連れて行ったら手足口病との診断を受けました。
手足口病が確定すると、病院で子どもの氏名、親の氏名、住所、電話番号を伝える必要があります。住所を元に、管轄の衛生管理中心に連絡が行き、衛生管理中心に情報登録されます。
手足口病の場合、登園禁止期間は2週間ですが、時折、症状の確認のために衛生中心から電話がかかってきていました。
2週間後に再度病院に行って医師から完治証明を発行してもらい、完治証明を持って衛生管理中心に行くと登園許可証がもらえ、再び幼稚園に行けるようになります。
証明やら許可証やら書いてますが、実際には今にも破れそうな薄っぺらいわら半紙の紙切れ(当時)だったので、やることは大げさだけど証書は安っぽいなと思ったのを覚えています。
他の病気では隔離された経験がないのですが、衛生中心に登録されると登校(園)許可がもらえるまでは学校や幼稚園に行けなくなります。
いずれにしても病院や管理中心から指示されたとおりに動けば良いです。
今後はどうなる?
日本だとインフルエンザでの学級閉鎖は良く耳にしますが、中国では注目する病気が異なるようですね。私の周りではインフルエンザで学級隔離や学級閉鎖になった例を聞いたことがありません。
そもそもインフルエンザという中国語はあるものの、ローカル病院ではインフルエンザとは診断されず、上呼吸道感染とカルテに書かれて抗生物質と咳などを抑える漢方薬を処方されるのが普通です。
肺炎も同様に、私は中国で生活して15年ほどになりますが、これまで支原体肺炎とか衣原体肺炎などを聞いたことがなく、今までは単に肺炎で括られて特別な対処をしてこなかったように思います。
日本と中国は別の国なのでやり方が異なるのは当然ではありますが、今後は、中国もインフルエンザやマイコプラズマ肺炎などにもっと注目するようになるかも知れないし、日本は日本で、手足口病などに敏感になるかも知れません。
ヒトも進化していますが、菌やウィルスも進化していて、今後どんな病気が流行るかは未知数です。予防措置をしっかり採って、自分を守るしかありませんね。