【中国現地校】高校入試体験レポート

上海生活あれこれ

 

先日、我が家の上の子が中国の高校入試を受けてきました。

今日はその時の状況をレポートしたいと思います。

 

現地校に通うお子さんを持つ方にご参考頂ければ幸いです。

 

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試験の正式名称は…?

今回、上の子が参加した試験の正式名称は、

初中学业水平考试 (初級中学学業水準試験)

と言います。

 

中国人同士の会話では普通「中考」と呼ばれています。

 

日本語の習慣を考えてタイトルには「高校入試」と書きましたが、中国では高校に入学するための試験というよりも中学を卒業するための試験という位置づけで、体制内の学校(※)に通う生徒のほとんどが受けなければならない試験です。

※体制内の学校:中国教育部が定める規定のカリキュラムに沿って教える学校

 

Bing様の情報によると、中考の試験結果が不合格だと卒業証書の受け取りに影響するとあります。

追試を受けてそれが合格だと卒業証書がもらえますが、それでも不合格だと“肄业证书(日本での「修了証」に相当※)”を受けることになるらしいです。

中学卒業の段階では卒業証書がもらえない人はほとんどいないようですが。。。

※肄业证书とは、卒業できなかった人、例えば大学中退者などに与えられる証書で、就職などの際に学業履歴の証明として提出するのに使う

 

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外国籍生徒も受けられる

受験者は多くないですが、外国籍を持つ生徒も中考を受けることができます。

学校で配布された資料ではこのように記載されています。

外国籍生も中考に参加できる

上海では少数民族や台湾の学生に対する加点政策があるので、もしかしたら外国籍生徒にも適用されるかも知れませんが、外国籍生は志望校選択の自由が与えられておらず、外国籍であることが有利に働くとは限りません。

 

志望校選択において大きな制限が加わる

  

受験するためには事前の申し込みが必要ですので、学校にきちんと問合わせて手違いなどがないように注意なさって下さい。

   

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2023年の試験スケジュール

中国の学校は9月スタート、6月エンドで7月、8月は夏休みとなるのが一般的です。

大学入試や高校入試は通常6月に実施され、大学入試は曜日に関わらず全国統一で6月7日、8日、9日に行われます。

 

高校入試はエリアによって実施日時が異なります。

メインとなる筆記試験は、上海では通常大学入試の翌週の週末に行われます(2022年はロックダウン影響で7月に実施)。

 

2023年上海市中学学業試験日程
※本地宝よりお借り

 

このうち、最終日の午後にある歴史の試験は8年生(中学2年生)で受ける科目です。

それ以外は9年生(中学3年生)になってから受験します。

 

本番前の大事な試験「一模」と「二模」

6月に行われる最終試験の前にいくつかの節目となる試験があります。

その1つが模擬試験で、「一模」と「二模」があり、最終選考に直接結びつくものではありませんが、志望校を選択する際の重要な判断材料となる大切な試験です。

  

「一模」

試験前の第一回目の模擬試験で、我が家の居住エリアでは1月の元旦明けに行われました(年、区によって開催期日が異なる)。

本試験と同じ科目の試験があり、ある程度の出題の方向性が見えてきます。

一模は比較的難しめに作られていて、学生たちに喝を入れる意味も込められていると聞いたことがあります。

 

一部エリアでは一模の試験成績が優秀だと、日本で言う推薦入学のような権利を得ることができるようです。

権利を得るというか、学校側から注目されると言った方が中国語に沿った正しい表現ですが、一模の成績を元に、優秀な生徒を集めたい重点校などから声がかかる生徒さんが出てきます。

 

「二模」

試験前の第二回目の模擬試験です。

こちらも区によって実施期日が異なり、我が家の居住エリアでは4月最終週に行われました。

 

二模も一模と同様、本試験と同じ科目の試験を行いますが、一般に一模よりもやさしめに作られることが多いようです。

難しくしすぎて点数が悪いと落ち込む学生が出てくるため、ある程度の自信を持たせる難易度にしているという話ですが、本当のところはわかりません。

  

一模、二模の総合得点は本番後の志望校選択時の最低点数ラインの参考になるので、どちらも本番のつもりで臨むことが大事です。

 

また、試験後の分析作業がとても大事です。

試験本番までの約1ヶ月間、どの科目(またはカテゴリー)を重点的に復習するのが良いのかの対策を立てなければならないからです。

  

我が家は一模、二模の結果を見て、主要教科(国、数、英)よりも物理、化学、道徳の復習をした方がより効果的なのでは?と判断し、オンラインで補講をしてくれる先生を知り合いに紹介してもらって不足を補いました。

 

また、普段の勉強でも数多くの過去問をこなして、出題の傾向や苦手分野を知っておくと良いです。

子どもの解答用紙を眺めているとどの分野が苦手なのかが結構見えてきます(ただしある程度の蓄積が必要)。

子どもたちは毎日の宿題に追われてなかなか時間が取れないor後回しにしがちなので、これは大人がサポートしてあげると良いと思います。

 

今思う反省点は、上の子は6年生の時に比較的状況が良かったため、7年生、8年生の時に彼の勉学の状況についてあまり深く干渉しなかったのですが、歴史や物理などを軽視してたことに8年生の終わりがけになってやっと気づき、歴史の本番の試験では散々な点数だったという残念な結果を招いてしまいました。

 

なので、普段から子どもの勉強には関心を払って、ちょくちょく注意喚起をした方がいいです。

年頃の子どもなのでむっちゃ煙たがられるのですが、体制内の学校で競争に勝っていくには、親のサポートは必要不可欠です。

  

5月のリスニングスピーキング&実験実技試験 

一模、二模を終えた6月のメインの試験の前にリスニングスピーキングと実験実技の試験があります。

この両者には本番の1ヶ月前くらいにシミュレーション試験があります。

基本的に本番の試験会場でシミュレーションしてくれるので、病気などで休まない限りはぶっつけ本番で試験に臨むということはありません。

 

リスニングスピーキングは10分くらい、実験試験は15分くらいの短い試験で、それぞれ10点満点、15点満点で、普通に対応していれば8割以上は確実に得点できる科目です。

逆に言えば、変なミスをして失点すると非常に痛い科目でもあります。

 

いよいよ6月、試験本番 

6月も半ば、いよいよ試験本番です。

2023年の試験は6月17日、18日、19日に行われました。

 

事前の天気予報で試験の3日間の天気が良くないことは承知済みでしたが、天気の悪さも手伝ってこの3日間は送迎が結構大変でした。

 

当日の試験開始時間は9時、上の子の担任の方針で、受験票を事前配布せずに当日の朝に配布したため(紛失を回避)、集合時間は7時半とやや早めでした。

受験票を配布した後、子どもは試験会場となる学校の門をくぐり、待合室のような場所で待機します。

その後試験が始まる前に透明or半透明の袋にいれた筆記用具だけを持って試験を受ける教室に入ります。

 

カンニング対策は厳しく行われていて、ティッシュは外のビニールをはがしてなら持参OK、ペットボトルもパッケージのビニールをはがしてなら待機所に持って入れます。

スマホやスマートウォッチはもちろんのこと、デジタル表示の時計は一切禁止で、学校の門をくぐった後にそれらが見つかると、重い処置が下されると注意書きに書いてあります。

  

なお、午後の試験は14時開始で、同じように早めに入校して、待機所でしばらく待ちます。

 

我が家は試験会場まで車で20分、その場で子どもを待つにも車を停めるところが限られ、車内待機は疲れるだけなので、都度車で往復してお昼ご飯は自宅で済ますことにしました。

遠方に住む人や雨の中を行き来したくない人は近場で食事を済ませて1日中試験会場近くで待機している人もいました。

中には前日から近所のホテルに泊まって連泊した人もいました。

 

私の高校受験の時は自分で会場まで行って親はノータッチでしたが、国も時代も違えば対応の仕方も異なるものだぁと思いました。

旦那も「自分の時は親に送ってもらった記憶はない、高校受験なのになんか大学受験みたいだ」と言ってましたが、今は親が送って当たり前な時代なようです。。。

日本もそうなんですかね?

 

携帯その他、電子機器は全て持ち込み禁止で子どもと連絡が取れないので、試験終了時にはこのように校門付近が迎えの大人で溢れかえり、付近は一時通行止めになります。

子どもが出てくるのを待つ親たち

 

上の写真は通行止めになった時にたまたま私の運転する車が先頭になったのでその時の様子を写真に収めたもの。

ちょうど雨が激しかった時に最短距離で子どもを迎えることができて、ある意味ラッキーでした。

 

とは言え、こんなタイミングは滅多にあるものではなく、それ以外のお迎えは交通整理員との戦いもあり。。。

上にも書きましたがこの3日間の送迎はしんどかったです。。。

 

試験よもやま話 

初日の試験科目は国語と総合(物理、科学を合わせたもの)、2日目は英語と数学、3日目は道徳でした。

 

国語でポイントとなるのは作文です。

作文は試験用にいくつかの内容を事前準備し、ある程度暗記して備えておきます。

今回の試験では、書いたことがあるテーマに近いお題が出て「よっしゃ!」と思ったとのこと、良かった、良かった!

 

数学では、噂の真偽はわかりませんが、数学で問題漏洩の疑いがあったらしく、「B巻」が出されたとのこと。

万が一のために、試験用に複数の問題を準備しておくらしいんですが、B巻っていうのは予備の試験問題でA巻よりも難しいとの噂です。。。

 

B巻の話は出さずに感想を聞いたら、特に難しかったとは言ってませんでしたが、時間がキツキツでしっかりと確認する時間が取れなかったのが悔しいと。(それって難しかったってことじゃない?という心の声はしまっておきましたw)

いろんな些細なことが複雑に絡み合い、最後は0.5点の差が合格可否に影響するので、噂レベルでもこういう話を聞くと「んんっ!?」と思ってしまいます。

まぁ、どの子も条件は同じではあるのですが。。。

 

最終日の道徳の試験は教科書の持ち込みが許可されている科目です。

この日の為に普段から教科書にはポイントをたくさんメモっておくと試験前の復習が随分とラクになります。

付箋を貼ったり、参考となる印刷物を挟んでおくのは禁止なので、しっかりと書き込むことが大事。

上の子は当初道徳を甘く見ていて一模、二模はひどい点数でしたが、本番は結構書けたと言ってました。

私もほっと胸を撫で下ろしています。

 

必勝ハチマキならぬNIKEで験担ぎ

私は見かけなかったのですが、ナイキのTシャツを着て験担ぎしてた人がいたようです。

 

中国の学校では○✖ではなく、レ✖で答案用紙の採点を行います。

对勾

レ点とナイキのロゴが似ているので、少しでも多くの問題が正しく答えられますようにとの想いを込めてNIKEのロゴに想いを託すのだそうです。

NIKEロゴと見比べると比べると確かに似てなくもないですが、どうでしょう?

NIKEロゴ

 

タオバオではこのような商品が売られているのですが、親や先生で着てた人がいたんですって。

 

タオバオで売られていたTシャツ各種

 

「満点」と書いてあると如何にもって感じですが、真ん中のタイプのデザインならアリかなww

  

志望校入力、学校別試験への申し込み

試験を終えると志望校選択の段階に入ります。

志望校への申し込みはいくつかのルートというかカテゴリーがあり、中身がちょっと複雑なのでこの記事では言及しません。

いろいろと見た情報の中ではこれが一番まとまっていて見やすいように思ったので、ご参考までにこちらにリンクを貼っておきます。

 

上海 各校募集計画数のまとめ ⇒ https://learning.sohu.com/a/680799034_391521

   

もし読者さまの中で、現地校への進学に興味がある、質問があるという方がいらっしゃれば、メールなどでお問い合わせ下さい。

答えられる範囲でお答えします。

 

今回上の子の受験を通じて、今更ながらどうして中国人たちが子どもの進学の為に住むところを選び、「学区房」と呼ばれる家を買うのかがより深く理解できました。

いろいろ見た中では、郊外区、特にミンハンや宝山などでは、人口と重点校数のバランスが取れていない感じで、どの区に住むのかは結構大事だなと思った次第です。

 

少しでもいい大学に行くためには、重点校と呼ばれる高校に行く必要があり、その重点校に行くために勉学に力を入れたいい中学に入れるのが良い。

そして、できれば黄浦区や静安区などの重点校の数が比較的多いエリアの戸籍があるといいですよね。

ま、そんなことまで考えて結婚相手を選ぶ人がどれだけいるのかって感じですが。

 

以上、中国現地校の高校受験にまつわるお話でした。

では!

  

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