日経小説『愉楽にて』が最終回!『つみびと』は今後どうなる?

上海生活あれこれ

以前こちらの記事でも書きましたが、今期の日経小説がとっても面白いです。

ちなみに『愉楽にて』は今日が最終回。明日から池澤直樹氏の『ワカタケル』が始まります。今日は節目となるこの機会にこれまで読んできた感想を記録しておこうと思います。

 

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『愉楽にて』

この小説は、久坂(主人公)ストーリーと田口(主人公の友人)ストーリーが入れ替わりながら進んでいきます。

最近のストーリーでは、主人公が手にしたいと願っていたファリンという中国人女性と友人の田口が関係を持ち、主人公の心情が今後どうなるのかを楽しみにしていた矢先、ファリンが田口の元を去るという展開になりました。

その後主人公にはガンが見つかり、女性をめぐる心の描写から病気や死に関する心の描写に変化しています。

 

社会問題を訴えているかのよう

主人公が病気になってからのストーリーでは、セリフや細かな描写に興味深い内容が書かれています。

例えば、最近読んだ中で気になったのは、医薬品メーカーの取締役である主人公の身内が、死に際に「ウチの薬は全く効かない」とのセリフを残した場面。

これは私が常日頃思っている、「薬」に対する考え方に通じるところがあってとても興味をそそられました。

私は「薬=毒」だと思っていて、確かに薬は悪くなった体調を改善する効果が認められるものの、身体にとっては「異物」であり、実際一部専門家が発信している情報では、例えば抗がん剤の効果はたったの10%という数字もあるくらいなんですね。

飲んで本当に効果が出る人は10人に1人で、残りの9人は高価な猛毒を投与されて死期を早めているかも知れないんです。

あるお医者さんが書いているブログ情報によると、自分がもしガンになったら患者に対して投与している抗がん剤を自分にも投与したいかとの質問にYESと答える医者はいないと断言しています。

それほど治療効果が???なものが患者に・・・。

 

これまでのお話ではこういったことが書かれておらず、今後のストーリーで暴露されたらいいなと期待していたのですが残念ながらもう終わってしまうようです。

日経小説では時折エロティックなシーンの多い小説が掲載されますが、『愉楽にて』のラストはエロで終わるのか、社会問題を投げかけて終わるのか。

明日、会社に行って新聞を読むのがとても楽しみです。

 

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『つみびと』

母・琴音、娘・蓮音、小さきものたち(蓮音の子どもたち)とに分かれて、それぞれの物語が進んできています。

先般も書いたとおり、このお話はある刑事事件をモデルに書かれたものだと思われますが、母、娘のこれまでのお話を読むと、子どもたちに起こったことは必然だったのかと思えてしまうような、虐待の輪廻についてとても深く考えさせられる物語だと感じています。

負の連鎖が子どもたちの死によって止まったことをどう捉えたら良いのか。登場人物の中で一番『つみびと』なのは誰なのか(一番悪い人を探るのは無意味ですが)、子どもたちに起こった結果をもたらした真の原因は何なのか。

最近、物語がいよいよ核心に迫ってきたと感じています。

ちょっと怖くもあり、今後が読みたいような読みたくないような、微妙な気持ちで読み進めています。

 

この小説、当初は書籍として発売されたら是非購入して読み直したいと思っていたのですが、書かれている内容が濃い上に重いので、一気に読み上げるには強いメンタルが必要です。落ち込んでいる時に読むと、もっと落ち込んでしまいそうな気がします。

新聞小説で読み進められる範囲が決められているから今まで読み続けることができているのかも知れません。

 

この小説を読まれている皆さんはいかがですか?

 

子どもは無垢で無知

この小説を読んでいると、子どもの心には元々何のけがれもないのに、身近な大人たち(特に両親)の言動によってこれほどまでに傷つき、汚されるものなのかと驚かされます。

自分の味方である(あって欲しい)一番身近な大人から、しつけと称する厳罰を受けたり、常識では考えられない対応を受けたり。

 

最近のストーリーでは母・琴音が性的虐待を受けるに至る過程が書かれているのですが、味方だと思っていた大人から大きな裏切りを受けて心もカラダもズタズタにされて、傷の程度によっては生きている間に癒されることなく次に連鎖してしまうのだなぁと。

同時期に親子間ハラスメントに関するメルマガを読んだこともあり、自分は子どもの心身の健康を守れているのか、毎日反省しながら小説を読んでいます。

 

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現在の連載はいつまで?

あるサイトでこれまでの日経新聞小説の掲載履歴を見たところ、基本的に1年〜1年半くらいの掲載作品が多かったように思います。『愉楽にて』は今日が最終回で明日から別の小説が始まりますが、1年経たずして終わってしまうなんて、面白かっただけにちょっと残念です。

『つみびと』はどうなんでしょう?こちらも終盤に差しかかってしまったのでしょうか?

どちらにしても、日経新聞の朝刊小説はボリューム的にも中身的にも興味がそそられるものが多いので、今後も引き続き注目していきたいと思います。夕刊ももちろん、ね。

 

※追記

『愉楽にて』の掲載期間は私の記憶違いで約1年ほどありました。17年の9月6日から始まっていたそうです。1年過ぎるのがあっという間過ぎてびっくりしました。。。

 

 

※2019年1月追記

長らく読んでいた『つみびと』も18年12月末で最終回を迎えました。読み終えた感想をこちらに書いています。

幸せとは何か?『つみびと』がついに最終回!

幸せとは何か?『つみびと』がついに最終回!
日本経済新聞国際版(日本では夕刊)にて今年の3月からスタートしていた連載小説の『つみびと』が先日エピローグにさしかかり、12月26日についに最終回を迎えました。 今日はこれまで読んできた感想として、私の想いを吐露していきたいと思います。 経...

 

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