日経新聞小説『愉楽にて』と『つみびと』

上海生活あれこれ

上海在住の私は、普段会社で日本経済新聞の国際版(アジア)を読んでいるのですが、今季掲載されている小説が2つともとても面白いんです。

それが日本だと朝刊に掲載されている『愉楽にて』と、夕刊に掲載されている『つみびと』。国際版には夕刊がないので、1つの新聞で2つの小説が楽しめます。

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『愉楽にて』

メディアで比較的多く取り上げられる女性作家の林真理子さん作。

私はこれまで林作品を読んだことがなかったのですが、女性作家なのに男性の気持ちの描写がすばらしいと感じました。

ほぉ、男性はこんな時にそんなことを思うのかなどといろいろ想像してしまいます。(本当にそう思うかは男性側の感想を聞くしかありませんが…)

 

正直、登場人物に出てくるような上流階級の人たちの仕事や生活ぶりは全く想像がつかないのですが、小説の中で私の知らない世界がたくさん垣間見れるのでとても引き込まれます。

また物語の一部に上海に関係する内容が登場するので情景が思い浮かべやすく、毎日早く続きが読みたいと思いながら楽しく読んでいます。

日経新聞は日本や世界の経済状況を頭に入れておく為に勉強のつもりで読んでいるのですが、最近は小説が優先になってしまい、小説だけを読んで新聞を閉じてしまう日すらあります。苦笑

 

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小説家の引き出しってすごい

私はリアリティを感じられる小説が好きです。作家さんで言えば『大地の子』、『華麗なる家族』などで有名な山崎豊子さんですね。

どれだけ取材を重ねたのだろうかと感心してしまうほどの内容の濃さや情景がリアルに思い浮かべられる奥深い描写がたまらなく好きです。

この『愉楽にて』も、それなりの取材と裏付けがあるのでしょう、相当の知識や経験がないとこういった小説なんて書けないと思うので、ただただ小説家さんの引き出しには脱帽です。

そして取材という点で、私の中では『愉楽にて』を上回る興味をそそられたのが、もう1つ紹介したい小説の『つみびと』です。

 

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『つみびと』

女性作家の山田詠美さんが書かれている小説です。

これまで日経新聞を読んでいても夕刊小説にはあまり注目していませんでしたが、初めて読んだ夕刊小説&山田作品にすっかり魅了されてしまいました。

小説にはかつて家出による育児放棄で幼い子ども2人を餓死に至らせたある事件をモデルにしたと思わせる内容が描かれています。

夕刊小説ともなると注目度が低いのか、山田詠美氏のこの小説に対するコメントやこの作品を読んだ人の感想が書かれているページがそれほど多くなく、本当にあの事件を題材にしたのかは私の勝手な想像ですが、もしそうだとしたら、登場人物に近い人物に取材に行ったりしたのかしら?どうしてそこまで奥深い心理が書けるのかしら?と山田氏がこの小説を書いた背景をとても探りたい気持ちにさせられます。

 

2人の子どもを育てる母として

子育てをしていて、子どもへの虐待問題とか、虐待の輪廻だとか、そんなことをふと考える時があります。

普段、痛ましいニュースを見聞きするたびになんで可愛い子どもにそんなことをするんだろう?と思うのと同時に、親業を投げ出したくなる気持ちはなんとなくわかるような気もします。

実は程度がひどくないだけで、自分も子どもの心を傷つける言葉の暴力を振るっているかも知れないし、この小説を読んでいるとハッとさせられます。

この小説には主人公のみならず、主人公の母親や子どもの立場から見た気持ちも深く描かれているのですが、物事には必ず因果があるんだなぁと思わずにはいられません。

今こうしてブログを書いている私も、子ども時分は両親に育てられ、現在は母として夫と共に子育てをしているわけですが、自分たちの言動が子どもたちの今後にどれだけ影響していくのか、傷つけるなんてもってのほかですが、もっともっとプラスに働きかける接し方ができるといいなぁと強く思うのでした。

 

今後の行方

『愉楽にて』も『つみびと』も、物語の今後の行方がとても楽しみです。会社で読む新聞なので、毎日確実に読めるとは限らないのが残念ですが、特に『つみびと』は単行本として出版されることになったら、是非また最初から読みたいと思っています。電子版で出してくれるといいなぁ。

 

※途中まで読んだ時の感想をこちらに書いています。

日経小説『愉楽にて』が最終回!『つみびと』は今後どうなる?

 

※最後まで読んだ後の感想をこちらに書いています。

幸せとは何か?『つみびと』がついに最終回!

 

※2019年5月追記

現在は当時の掲載小説がどちらも書籍化されています。

林真理子作 愉楽にて

電子書籍もあります。
愉楽にて【電子書籍】[ 林真理子 ]

  

山田詠美作 つみびと

 

コメント

  1. omachi より:

    お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
    歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

    読み通すには一頑張りが必要かも。
    読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
    ネット小説も面白いです。

    • しゃんはいさくら より:

      紹介どうもありがとうございます。

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